
この先の50年を見据えて計画する
今回のプロジェクトはどのような位置づけなのでしょうか
豊栄ビルは、テナントが入って稼働中の商業施設のため、休業時期をできるだけ短くしたいという要望がありました。耐震補強と設備の更新を中心としながらも、デザイン的にも良いものにしたいという共通の認識をすり合わせるために、初期段階で完成イメージを協議・共有しました。ファシリティマネージメント、生産技術、設備のメンバーに加えて、建築技術アドバイザーにも入ってもらい、今回のビルの再生に向けてチームを組みました。一般的なアドバイスを行うだけのコンサルではなく、現場の調査を行い、アイデアを出し、実施計画を立てて、工事業者を選定して、外装の仕上げまで並走する、という体制です。
プロジェクトのコンセプトを教えてください
竣工から50年を経ていましたので、当然あちこちに不具合や汚れが出ています。しかし、同時に、八王子の駅前に位置しており、街にとって重要な役割を担っているビルでした。ビルとしての収益だけではなく、都市景観に寄与することも考えないといけません。オーナーの方と協議をした結果、建て替えではなく、リノベーションをすることにしました。50年間維持できたのだから、この先の50年も見据えてみよう、という共通の想いを持つことができたのです。
耐震補強や設備のことは技術で解決できましたので、安全性の目処がついた段階で、世界中の美しい街並みや美術館を参考に、イメージビジュアルを提案しました。大きなテーマは「REBORN」、具体的には「花屋」「アクセントウォール」「都市と歴史との接続」というのが、私たちが提示したキーワードです。
ビルのファサードを彩るプランター
ヒガノの製品を採用いただいた決め手をお聞かせください
外装の上部は、既存のスクエアタイルを残して白く塗装し、基壇となる1階まわりは光を吸収する黒い凹型アルミ押出スパンドレル仕上げとしました。「白」と「黒」のコントラストでのベースができたところで、ビルの正面や側面には花や緑の彩りを添えたいと考えていました。
そこで制約となったのは、道路境界線までの距離でした。敷地ぎりぎりに建っているため、なにか大きなものを設置することはできない。軽量で取り扱いがしやすく、美的なものを探していたときに、ヒガノの製品展示会に立ち寄り、「壁面緑化パネル」と「じゃかご」に出会いました。限りあるスペースの中でどのように形にしていくか協議を重ね、大変な短期工事の中でしたが、施工図から完成までがとてもスムーズに進み、こちらの期待に見事に応えていただきました。
施主様からの反応や評価はいかがだったでしょうか
提案した段階から、とてもよい反応をいただきました。オーナーご本人が花にまつわる作家であることもあり、採用がすぐに決まりました。壁面にプランターを設置したことで、都市景観と街並みに大きなインパクトを与えることができたと実感しています。


耐久性・耐用性の高さも重要視
製品の品質についてのお考えをお聞かせください
製品は経年による変化や強風時の確認が必要ですが、御社のご提案・フォローによって長期にわたり美観と品質を維持できることを期待しています。建物のライフサイクルに合わせた保全計画の中で、引き続きご支援いただければ幸いです。
今後、ヒガノやヒガノの製品にどのような期待をされますか
エクステリアは建物にとって重要なポイントです。ファサード、ランドスケープともに欠かせない要素であるので、バリエーションが豊富な製品の開発をこれからもさらに進めて行っていただきたいと思います。ひとつひとつていねいに、高品位、高品質な製品を安定して提案していただくことを望んでいます。

