左から)渥美 潤様、梅原 雅子様、宮澤 靖生様/株式会社佐藤総合計画芝生ひろばを中心に、地域とつながる施設
今回のプロジェクトの経緯を教えてください
梅原様:今回の敷地には、かつて小学校だった建物を活用し、地域住民が主体となって運営していた「こらぼ大森」というコミュニティ施設がありました。建物の老朽化に伴い、出張所や地域包括支援センター、保育園などを一体化した新しい複合施設として再構築していくことに。
プロポーザルの段階から提案していたコンセプトは、「ひろばを中心に街とつながる」こと。
以前から地域の方々に親しまれていた天然芝のひろばを残したいという声を受け、中心に芝生ひろばを設け、その周囲をロの字型に囲むように9つの施設を配置することを提案しました。それぞれの施設が独立しながらも、活動が自然と見えて、つながりが生まれるように設計し、地域の人たちが気持ちよく集える場所に、と考えました。
渥美様:また、大田区はものづくりのまちとして、町工場による金属加工技術が息づいています。当社では、こうした地域の“匠”の技術を積極的に取り入れるのはどうか、と提案をさせていただきました。
実際に建物のサインは、大田区内の工場に依頼して制作し、金属板をプレスして凹凸をつけたり、自由な形でパンチング加工を施したりと、町工場のものづくりの力を生かしています。
プロジェクトはどのように進んでいったのでしょうか。
宮澤様:「大田区大森西地域力推進センター」は、2019年12月にプロポーザルから参加させて頂き、選定を頂きました。翌2020年から設計が始まりましたが、ちょうどコロナ禍と重なり、住民説明会や施設関係者との意見交換が難しい時期が続いたため、設計の検討期間が長めに設定されることに。設計は2022年11月まで続き、その後、既存建物の解体工事を経て新築工事へ。2025年6月に第1期が完成、9月にオープンしたという流れです。
渥美様:住宅街の中にある公共施設なので、“丁寧に作る”ことを大切にしていました。時間をかけて地域と関わらせていただき、ようやくここまでたどり着いたという思いです。
避難にも対応する、機能と意匠を両立したゲート
ヒガノ製品を採用した経緯、決め手を教えてください
梅原様:大田区大森西地域力推進センターは、東西南北の4方向に出入口を設けています。施設が開いている時間帯は、どの方向からでも芝生ひろばに入れるようにと計画しました。
一方で、夜間や閉館時には安全を確保するため、各方向に門扉を設置する必要がありました。その中でヒガノさんのゲートを採用したのが、建物のメインエントランスにあたる南側です。
通常であれば引き戸を採用することが多いのですが、今回は建物の構造上、引き込みスペースが確保できず、一般的なメーカーでは納まりが難しい条件でした。そこで、ヒガノさんなら要望に合わせたものをつくってくれるのではないかと相談させていただいたのがきっかけです。
限られたスペースで、緊急時も配慮した構造門扉の設計のポイントはありますか
梅原様:避難施設としての機能も併せ持つ建物のため、開口を広く確保できるように設計し、扉を折りたたむことで全開にできる構造としました。さらに一部の扉にはレバーハンドルを設けて、通常と逆方向にも開けられるようにするなど、緊急時の避難を考慮した工夫を施しています。
また、建物全体で統一している“町工場の技術”を生かしたデザイン性を重視し、門扉にもサインと同じパンチングメタルを採用。門を閉じたときも、開いたときも美しく見える仕上がりを相談し、具体化していきました。
統一感のある仕上がりに“提案力”と“技術力”が生む、新しい建築の可能性
今後、ヒガノに期待することはありますか?
宮澤様:ヒガノさんは、既製品の枠にとらわれず、一点一点の要望に丁寧に対応してくれるのが心強いと感じます。今回のように、建物全体の意匠計画やコンセプトに合わせた製作ができるのは大きな強みではないでしょうか。今後も、そうした提案力や技術力を生かして面白い建築を一緒につくっていけたらと思っています。
梅原様:最近、ヒガノさんの製品の中で、吸音できるルーバーがあると知って驚きました。もし、もっと早く知っていたら、この施設で採用させていただいた可能性も…。ヒガノさんの製品の魅力をもっと知ることができるような展示会や紹介の機会が増えると嬉しいです。
「今後も、ヒガノさんの提案力や技術力に期待しています」と語る渥美様・梅原様・宮澤様