設計者の意図を汲み、技術によって裏打ちされた製品
「福田美術館」を建築設計することとなった経緯を教えてください。
京都出身のオーナーが社会貢献として、郷土に美術館建設を企画したことが始まりです。嵯峨嵐山地区において大堰川沿いの絶好地に建つ美術館であるため、その設計者としてアトリエを選定いただいたことは大変光栄なことでした。江戸から近代にかけての日本画コレクションを主に展示・収蔵するため、美術館は美術品を守る「蔵」のイメージを当初から持っていました。遠景からは渡月橋・小倉山などの古都の風景に溶け込み、同時に近景では現代建築らしさを持つディテール、その両方を常に意識していましたね。
ヒガノの「門扉」を採用いただいたのは何が決め手だったのでしょうか?
これまでヒガノさんには、様々なプロジェクトでお世話になっており、特に門扉についてはその技術力において信頼性が高かったからです。本プロジェクトも設計者の意図を汲み取り、技術によって裏打ちされた詳細な作図をしていただきました。
2つの施設の世界観の統一と収納時の美しさをヒガノで実現
隣地のホテル「MUNI KYOTO」にも当社の「門扉」を採用いただいた理由を教えてください。
ホテルは多くの観光客が訪れる渡月橋からの風景の一部となることもあり、嵐山の景観との一体化を目指していました。京都に宿泊するということは、長い歴史を振り返りつつ今の自分を見つめ直す大切な時間を持つことでもあります。ゆったりとした時の流れを感じられる空間となるように意識して建築設計を進めていきました。
「MUNI KYOTO」は「福田美術館」の門扉と入り口が向かい合うため、両施設のデザインの統一性を追求しました。また、ホテルという特性から閉まっている時間より開いている時間が長いため、壁の裏に収まる姿を美しくするという課題も。「福田美術館」での丁寧な仕事をしていただいた実績から、課題をクリアできる門扉の製作をヒガノさんに依頼することにしました。
「福田美術館」と「MUNI KYOTO」の施主様からのご感想などはありましたか?
門扉も含め、細部にいたるまで図面上で提案し、ご納得いただいた上での製作でした。そのため、完成後も問題なく高い品質が認められ、大変満足いただいていますね。
期待するのは「飽きない、錆びない、壊れない」商品開発
設計者目線でのエクステリアの重要性について教えてください。
外部で使用する製品は、デザインや耐久性のみならず、屋内製品よりも十分に安全なことが重要だと思っています。また閉館後には門扉が主役となりますので、決して前に出過ぎないよう抑えた意匠であることが重要だと思っています。
当社についての印象、また製品の意匠、デザインはいかがでしょうか?
その点でいうと、ヒガノさんのメーカー製品はシンプルな意匠のものが多く、材質の選定、角の処理などのディテールにも配慮されている印象です。いつもお願いするものはオーダーメイドのものが多いのですが、最大限の品質を保つように常に取り組んでいただけるのが嬉しいですね。
今後、当社また製品について期待したいことはありますか?
万が一にも不具合が生じた場合も適切に対応いただけるので、安心して依頼しています。オーダーメイドでの依頼はメーカー製品よりも多少製作に時間がかかるのは致し方ないと思っています。その中で「飽きない、錆びない、壊れない」の3拍子は重要です。今後は粉体塗装やメタリック塗装などの長寿命な塗装の開発に期待しています。引き続き、丁寧な仕事を続けていただきたいですね。