元々のポテンシャルを最大限に生かし、街の人に緑を開く
「MUFG PARK」の設計に携わった経緯、また設計コンセプトを教えてください
塚本様:当社はこれまで三菱UFJ銀行から建築設計の仕事を数多く受注してきましたが、今回は銀行が所有されている福利厚生施設の改修という、今までとは性格の異なるプロジェクトでした。福利厚生のための既存の施設や敷地をどのように活用するべきか、基本構想段階から一緒に検討させていただくところからスタートしました。
津久井様:もともとあった豊かな自然環境に手を加えすぎないよう配慮しながら、その土地にあるポテンシャルをどうやったら生かすことができるのか、訪れる人にいかにこの緑を堪能してもらうのか、ということを意識しました。結果的にテニスコートやグラウンドも元の位置とほぼ同じ場所に再整備し、最小限の改変で効果的な計画とすることが出来ました。
大谷様:私は工事監理からプロジェクトへ加わったのですが、現場でもいかに自然を残したまま工事を進めるかということを意識して様々な調整を行いました。本計画は学校が隣接しているため、大きな音が出る工事を授業時間外に調整したり、道路を占用して行う工事を夏休み期間中に調整する必要があります。地域の安全面などへも配慮して工事を進めていくことは、この土地が地域の人のための場所になる、地域の人に開く、というビジョンに向けて重要なプロセスだと感じ、非常に貴重な経験でした。
自分のためのサードプレイスへと切り替わるエントランス
ヒガノ製品を採用した決め手は?
塚本様:ヒガノ製品のイメージはベースとして格調高く、さらに繊細にアレンジしていただけるという点があったので、まずはカタログを見ながら営業の方と話をしました。公園のゲートを考えるにあたり、どこかヨーロッパの庭園のような優雅な雰囲気に合うデザインにしたい想いがあり、ゲートをくぐった先に自分のサードプレイスへと気持ちが切り替わるようなエントランスをイメージしました。支柱回転式コンパクト開戸を採用することで、ゲートが「開く」という雰囲気も良いですし、開いた後も側面にゲートのデザインが見えるので、よりPARKに入る高揚感を演出することができたかなと思っています。
津久井様:本計画では、支柱回転式コンパクト開戸を採用しました。ノンレールでかつ、コンパクトな開戸を採用することで、ゲートを設置するためのスペースを最小限にでき、周囲の樹木を残すことができました。デザイン性も高くてコンパクトなゲート、というリクエストに応えられる製品がヒガノのゲートでした。
機能性とデザイン性、双方を実現するバランス感覚に期待
当社とのやりとりで印象に残ったことはありますか?
塚本様:カタログがとても充実しているので、イメージに近い製品をある程度ピックアップしたうえでカスタマイズしていくことができ、非常に検討しやすかったです。
「MUFG PARK」はゲートが5箇所あるのですが、それぞれの用途や環境が少しずつ異なるので、例えば鍵をゲートの内側、外側どちらでかけるのか、歩行者に加えて車両も通るのかなど、必要な要素を整理しつつ5つのゲートを並行して図面の検討を進めました。ヒガノの担当者の方はリアクションがよく、きめ細かいやり取りをしていただきました。
今後、ヒガノまたはヒガノ製品に期待することはありますか?
塚本様:外部空間が与える印象や価値というのは高まってきていると感じています。リーズナブルな予算感の中でも上手に設計していくと施設や街並みに与える効果は高いため、工夫して良質な外部空間をつくることは、高いコストパフォーマンスにつながると思っています。ただ予算の調整は必ず生じますので、どのポイントがデザインの価値を上げるのに効果的で、どの部分を抑えるとコストが下がるのか、ということをうまくメーカー側と議論できて製品化につながると設計側としてはすごく助かります。ヒガノ製品の機能性とデザイン性のバランス感覚にこれからも期待しています。
大谷様:私はまだまだ勉強中なので、メーカー側から積極的に製品の提案やアドバイスなどがあればあるほど嬉しいです。
津久井様:セキュリティに対する考え方はどんどん変化していくので、時代とともに社会に求められている最新の情報を提供いただけると嬉しいです。自社の設計物件なら運用後のフィードバックが自社へ届くケースもありますが、製品のことであればメーカー側へフィードバックがいくケースもあると思います。ヒガノのような門扉やボラードなどのスペシャリストであれば、さまざまな情報の蓄積やそこから改善していくこともあると思いますので、蓄積されたノウハウなども積極的に教えていただけると助かります。