事例紹介

めぐり歩いて楽しいまち、Shibuya Sakura Stage
そのまちに溶け込む機能的でシンプルな「庇」

物件名

Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)

設計担当者

SHIBUYAサイド(A街区)
鹿島建設株式会社 建築設計本部 建築設計統括グループ 向井 千裕様

SAKURAサイド(B街区)
戸田建設株式会社 建築設計統轄部 建築設計第1部 渡辺 忠様

製品

アルミハニカム庇 PFH44 Series キャンチタイプ

  • 桜丘口地区を賑わいの場所に、まちをつなぐ外部空間
  • まちになじむ、シンプルで機能的な庇
  • 意匠性・機能性は維持しながら、選択の自由度が拡がる製品開発に期待

100年に一度と言われる渋谷区中心市街地の大規模再開発が進み、つぎつぎと大型施設が完成する中で、「渋谷駅と多層の歩行者動線でつながり、周辺地区への回遊性も高める」という重要な位置付けをもつ複合施設「Shibuya Sakura Stage」が2023年11月に誕生しました。この「Shibuya Sakura Stage」に外装他の実施設計者として携わったのが鹿島建設の向井 千裕様・戸田建設の渡辺 忠様です。大型複合施設でありつつヒューマンスケールを意識した街路に、ヒガノの「庇」を採用された決め手や背景などを伺いました。

 alt=
渡辺 忠様/戸田建設株式会社 建築設計統轄部 建築設計第1部

桜丘口地区を賑わいの場所に、まちをつなぐ外部空間

今回のプロジェクトの経緯をお話しください

渡辺様:今回のプロジェクトとの関わりは技術提案入札という形で始まりました。設計事務所が設計を一旦まとめた段階で弊社と鹿島建設様がジョイント・ベンチャー(共同企業体)として変更実施設計提案をする機会を得て受注をいたしました。SHIBUYAサイド(A街区)を鹿島建設様、SAKURAサイド(B街区)を戸田建設が担当し、いわゆるデザインビルド方式という形で関わっています。

具体的にはどのように進められていったのでしょうか

渡辺様:本プロジェクトでは、「この地にもともとあった良さ、スケール感を生かした、人が訪れて楽しく住んで楽しいにぎわいのあるまち」を目指して計画しました。これまでの桜丘口街区は、鉄道や国道246号があることで中心地からは少し行きづらい、東西・南北ともにまちが分断されたようなエリアでした。そこで、新しく設けられる新改札口を起点として、街区にさまざまなレベルで動線をつなげ、人の流れを生み出す計画としています。都会的で大きなスケールのSHIBUYAサイドから、より親密でナチュラルな素材や緑が感じられるSAKURAサイドへと土地の起伏も建築に取り込みつつ、素材や空気感を変化させながらバリアフリーにつなげていくことで、人が楽しみながら奥へと誘われる空間づくりを目指しました。

向井様: 同一開発内の2ブロックとして、厳格に揃える要素、エリアごとの性格付けが反映され差異や対比が必要な箇所などを、戸田建設様・弊社の2社にて協議・協力してひとつずつ進めていったことが思い起こされます。来街者が建物内を縦横に走る共用通路を思い思いのルートで楽しげに通行する様子から、開発の狙いの1つがしっかり形になったことを実感します。

 alt=
街路を挟んで対話するように、二つの街区に庇を設置

まちになじむ、シンプルで機能的な庇

ヒガノの「庇」を採用いただいた経緯を教えてください

渡辺様:SAKURAサイドはヒューマンスケールの街並みを意識して、比較的小さな店舗が街路に直接面して不規則に並び、視線の抜けのある空間を作っています。「庇」は機能上必要なものですが、このまちのしつらえを損なわないことが重要でした。ヒガノの庇はメーカー製品として⼀定の強度がありつつ、非常に薄く主張しすぎないシンプルな形でその要求にかなうものでした。⼀部設置⾼さの高い部分があり、⾬の吹込みの関係で出⼨法を伸ばす必要がありましたが、メーカー製品でありながら風荷重に対する強度計算をして必要なところまで自由に庇を延ばすことができた点もポイントでした。⼊⼝の⾃動ドアと⼀体に⾒せることで、店舗内から街並みの風景を妨げることもありません。

向井様:限られた店舗サッシの全高の中に決められた出入口高さを確保し、上部に全テナント共通の店舗サインスペースを用意したうえで、その間に庇を設ける必要がありました。出入口横の袖看板の視認性なども考慮すると、斜め部材の無い片持ちタイプで極力薄くしたいということとなり、かつ、機能として先端部の樋も必要となると、この庇しか無いという選定になったという経緯です。通りを渋谷駅方から眺めた際に、袖看板と庇が交互に機能的に連なる姿が、求める機能を端的に表しているように思います。

 alt=
ドアと「庇」とを一体化させ、店内からのまち並みを遮らない工夫を

施主様やプロジェクトチームからの反応や評判はいかがでしょうか

渡辺様:当初は、弊社が担当したSAKURAサイドで庇を採用して進めており、SHIBUYAサイドには設置されていませんでした。ある程度進んだ段階で「通路の向かい側にもつけよう」となり、その自然な見え方が理解いただけたものと思いました。「二つの街区が対話しひとつながりの街になる」というコンセプトを小さな目立たない部分にも反映させることができました。SHIBUYAサイドチームには、下地を奥まらせて薄い庇の直線ラインだけが見えることや、店舗外装はアルミカーテンウォールですが、サッシメーカーとの検討でマリオンからの⽀持で設置できて通常必要な支持材が不要とできたことなどが、納得いただけた理由と思います。

 alt=
さりげなく街に溶け込みながら機能を果たす「庇」

意匠性・機能性は維持しながら、選択の自由度が拡がる製品開発に期待

外装設計をしていく上での想いを教えてください

渡辺様:外装デザインやランドスケープというのは、大規模開発になればなるほど、一番に人の目に触れて、その場所の印象が決まる部分です。人の居心地のよさを左右してしまう部分でもあり、非常に大切な役割を担っていると感じています。
プロポーションや素材、⾊彩、ディテール等の多くの要素を高いレベルで統合することが必要です。常に、建物本体のそもそものコンセプトを強化する、あるいは馴染んでいく部材を選びたいと考えています。加えて、建築主の想いや場所の特性をどう表現するかも必要で、いつも非常に難しく、同時にやりがいのある魅力的なものと思っています。

向井様:どうしても本体建物の計画や条件が先行して、外構計画が後を追っていく形になることが多いように思います。そこに置かれる各部材の選定については、さらにそのあと。それをさも最初から計画されていたかのように自然に納めていく努力をしていくことになりますが、やはり、部材ひとつひとつ、それにふさわしい納まりで詰めきれているという設計をしたいものです。

今後、ヒガノにどのような期待をされますか

渡辺様:納入実績を見ていると、その建物に馴染んでいるものが多いと感じています。今回のプロジェクトでは、「とにかく薄くてシンプルな庇がいい」という当初の要望からその後もきめ細かな技術で応えてもらいました。さりげなく見えるけれど、カーテンウォールに干渉しない、自動ドアの機能も妨げないなど、デザインと機能の両立を実現できました。今後はシンプルな形状を残しつつ、たとえば雨水を落とす樋がさりげない形で実現できるなど、機能を付加しつつデザイン処理されて選択の自由度が増していくことを設計者としては期待しています。

向井様:設計者は勝手ばかり言いますので、すべてに応えきれるものではないと思いますが、それらの中で、これは芽があると御社が見抜かれた要望を、妥協ないディテールで製品に反映し続けていただければと思います。

 alt=
「要望にきめ細かな技術で応えてくれました」と語る渡辺様

採用していただいた製品の詳細はこちら

シェード(渡り廊下)・庇(ひさし)

製品
アルミハニカム庇 PFH44 Series キャンチタイプ

※取材撮影は2024年3月に実施しており、掲載されている内容は取材時点のものです

各種お問合せはこちらから

メールで問い合わせをする
  • 048-931-3321(代表)
  • 048-931-7332
PAGE TOP