
横浜鶴屋町の魅力を追求し、地域全体に貢献していくまちづくり
今回のプロジェクトは貴社にとってどのような位置づけなのでしょうか
私は松田平田設計 横浜事務所の建築設計部に所属しており、これまでも再開発事業に多く携わってきました。横浜事務所は、地域密着型で横浜周辺の建物に多く携わってきています。計画にあたってはこれまで蓄積した横浜のまちづくりに関する知見を活かし、事業者にはもちろん、地域全体に貢献できる事業を意識しています。
今回は、大型再開発ということで、設計は当社とUG都市建築、東急設計コンサルタントとのJV、施工は大林組です。UG都市建築が都市開発を主に担当し、東急設計コンサルタントは住宅の部分を、当社が建築設計全般を、という様に、得意な分野をそれぞれが担当しました。
まちづくりのコンセプトを教えていただけるでしょうか
「THE YOKOHAMA FRONT」が建つ横浜鶴屋町というエリアは、もともと、界隈性やにぎわいをもつ魅力的なまちとしてのポテンシャルを有していました。今回の再開発では、「快適・利便性」に加えて、鶴屋町の個性・特性でもある「繁華・愉楽(ゆらく)」を訪れる人に伝え、その2つの価値を追求していく、ということを目的として計画を行いました。
松田平田設計は、コンサルタント、設計者として20年以上にわたりこの場所の事業者の皆さまと歩んできています。その長い年月のなかで事業者の方々がなにを望んでいるのか、自分たちはどのようにそれを実現できるのか、ということを見極めていくことが再開発事業の設計者の重要な役割だと自覚しています。
緊急時への信頼性と、日常のデザイン性の両立
ヒガノの製品を採用いただいた決め手をお聞かせください
今回の再開発で重要なポイントの一つが、駅と施設をつなぐ歩行者デッキでした。デッキは、横浜駅きた西口から施設に沿って伸びて、さらに向こうのエリアともつながっていきます。その歩行者デッキは、「はまレールウォーク」と名付けられていて、通常は歩行者専用通路ですが、災害時には緊急車両が通行できるように計画されています。ヒガノさんの「ゲート(大型門扉)」は、緊急車両用の車路と「はまレールウォーク」の間に設置されています。通常時は開かれることのない門扉ですが、いざ災害が発生した際には、その門扉を速やかに確実に開いて緊急車両が通行できないといけません。高い信頼性が必要になる、需要な役割を持つ門扉です。大型門扉の実績が多いヒガノさんの製品であれば、信頼できると考え採用に至りました。

また「アルミハニカム庇」を店舗で入口の上部へ、複数箇所に設置しています。庇の厚みが22mmと非常に薄く、シンプルな形状でありながら、端部には雨樋機能が設けられています。複数の出入り口から多くの人が頻繁に出入りする商業施設にふさわしい形状と機能性を兼ね備えていると判断し採用させていただきました。

施主様からの反応や評価はいかがだったでしょうか
門扉の設置にあたり、もう1点需要なことがデザイン性でした。門扉の向かい側には飲食店が並んでおり、そのテラスからの眺望をこわさないデザイン性が求められました。
門扉に木調のルーバーを取り付けることで、左右に連続する壁面緑化に自然になじむ形で溶け込んでいます。ルーバーを取り付けたことによる開閉部分の納まりや機能的な課題も相談を重ねて解消していくことができました。そういった特殊な要望にも柔軟に対応いただき、事業者からも機能性とデザイン性の両立が実現したという評価をいただいています。

エクステリアの魅力が“まち”の活気を生む
設計をしていく上での想いを教えてください
私はエクステリアのデザインというのは、まちづくりでもあるという風に考えています。周辺の“まち”がどのようなものであるのか、私たちが設計する建物の周囲がどのようにあるべきか、ということを一緒に考えて、まちと建物のつながりを重視して設計をしています。再開発のように長く同じプロジェクトに関わっていると、自分の考えはもちろん、事業者の想いも変化していきます。事業者や地元の方々が“なにを求めているのか”に時間をかけた分、想いを理解しているというのが強みであると考えています。さまざまな提案や打ち合わせを経て、最終的によい形に収束できたと思っています。
今後、ヒガノやヒガノの製品にどのような期待をされますか
災害に対する信頼性や安全性は、今後ますます重要になっていきます。いますでにヒガノさんが強みにされている、そういう部分をさらに高めていっていただければ嬉しいですね。災害時に確実に作動すること、エクステリア自体が壊れてしまって人が怪我をしたりするようなことが決してないことが求められています。加えて、私たち設計者の求めるデザイン性にも高い次元で寄り添って実現していってもらえる。そういうことが、セットで求められる時代になっているのではないでしょうか。
