目指したのは親しみやすいキャンパスのような研究所
「中外ライフサイエンスパーク横浜」のコンセプトは?
後宮様:施設のコンセプトは「Green Innovation Village~緑の中に点在する、最先端創造研究所」。研究者の想像力を刺激すると共に、周辺のまちなみ自体をよくしていくことを目指し、豊かな緑地空間の創出と、分棟形式の建物群で構成する計画としました。これにより、マンションが建ち並ぶまちなみと調和する研究所としました。また、各棟をつなぐ背骨のような動線空間「スパイン」に様々なワークプレイスやコミュニケーションスペースを設けています。研究者が出合い、活発的な議論が展開され、イノベーションのきっかけとなる設計としました。そして、研究者のみならず、地域住民の方にとって親しみやすいキャンパスのような研究所を目指しました。
本プロジェクトでの「エクステリア」の重要性とは?
加登様:“地域と共生”が重要なテーマです。そのため、計画した緑道空間は地域開放を行うことができる設計としています。緑道と公道の境界には低い植栽を設けることで、敷地と地域との境界自体をゆるやかに連続させています。今後、このようなファジーで周辺環境になじむエクステリアが主流になっていくと思います。
デザインと機能性の両立が採用の決め手
当社の製品を採用いただいた経緯、決め手を教えてください。
加登様:私が担当しているランドスケープ部分では、「門扉」に各種センサー類や電気錠の設置がある複雑なものでした。ヒガノさんに相談すると作動時のリスクなど適切な指摘をいただけるので設計検討を安心して進めることができました。今回は、研究所というセキュリティ面に対する要求が高い案件であり、その検討サポートもいただけたのでヒガノさんにお願いして良かったと思っています。
後宮様:設計チームのメンバーからヒガノさんを紹介され、「シェード」や「庇」、「ムーブボラード」、「傘立て」など、ヒガノさんの製品を多数採用しました。繊細なディティールと性能が両立できているところが採用の決め手です。
印象に残っている製作時のエピソードはありますか?
後宮様:日本設計ではメーカー製品であっても構造的な安全性を吟味した上で採用の採否を決めています。ヒガノさんの片持ちタイプのシェードを採用した際には、何度も担当者の方とやり取りをしながら、設計や製作図の取りまとめをさせてもらいました。迅速な対応で安全性についてのデータを提供してもらったことが印象に残っています。
加登様:機能を担保しながらも細部仕様のグレード調整などを提案してもらえたところです。素材に自由度があるところも非常にありがたかったです。質実剛健なのはデザインだけではなく、製作時のやりとりからも感じられました。
周辺環境になじむ最先端のラボに自然に溶け込む
納品後の施主様、また設計者目線での感想があれば教えてください。
後宮様:「庇」のことでいうと同じシリーズで多様な種類の適応が可能だったことで、全体的に調和がとれたという評価はいただけていると思っています。
加登様:建物がメインではあるのですが、今回の外構は「自然との繋がり」をテーマにしたものなので、自然に調和した外構のデザインになっています。背景に溶け込み、主張しないという「門扉」のあり方は、施主の中外製薬様から満足いただけているのではないかと思います。
今後、当社に期待することはありますか?
後宮様:ヒガノさんのWebサイトを拝見していて、最近はインテリア製品も増えてきたと感じました。Webサイトやカタログに掲載していないもの、例えば一品生産のような建築の内部の金物などの製作まで対応してもらえると嬉しいです。
加登様:マンションのランドスケープ設計などをしていると、エクステリアの中に屋外プランターを配置したりします。そういったものもヒガノさんに依頼できるといいです。総合商社のようになる必要はないですが、「こういった企業も紹介できますよ」となると、ヒガノさん自体が受けられない内容でも、まずは相談してみようという形になるかと思います。ヒガノさんは様々な知見をお持ちなので、そういった繋がりのハブになってもらえるといいです。