イノベーションの4つのプロセスを繰返し実践できる場をつくる
本プロジェクトは、貴社にとってどのような位置づけなのでしょうか?
本プロジェクトは清水建設が掲げた「SHIMZ VISION 2030」に基づき、「事業構造」「技術」「人材」の3つのイノベーションを推進し社会とのコミュニケーションを図る場として位置づけられています。施設のコンセプトでもある「温故創新の森 NOVARE(Smart Innovation Ecosystem NOVARE)」(以下、NOVARE)は、ただ新しいものを創造するのではなく清水建設だからこそできるイノベーションの拠点として、常に原点に立ち返る姿勢の温故創新、森が生態系を形成するように自立し連携し合う施設となるように、という想いが込められています。
どんな特長をもったプロジェクトになったと感じていますか?
まずはイノベーションとは何か、どのように引き起こすものなのか、という議論や考察からスタートし、清水建設内で対話を重ね結果として、イノベーションのプロセスを4つの段階を繰り返し行う事だと考えました。1つめはDiscoverで共に課題を発見し、2つめにDefineで仮説をたて、3つめにRefineで検証/実践し、4つめにScaleで社会実装する。またそこで新たな発見を1のDiscover につなげる。このDDRS(頭文字を繋いだ)の繋がりをイノベーションプロセスとして、このNOVARE全体の空間構成に落とし込みました。設計スタンスのベースとして、そのようなイノベーションを生むためにやってみよう、試してみようというスタンスがあり、ヒガノさんの門扉をはじめ色んなことにチャレンジをしましたね。
設計者とイメージを共有し具現化していく
今回、「門扉」のこだわった点を教えてください。
この施設ならではのチャレンジとして、今回門扉を警備巡回ロボットに対応させたことです。実は施工段階で出てきたテーマだったのですが、設計者や当社技術研究所の研究員、ヒガノさんの技術者と打ち合わせをしながら、ロボット通過の信号を感知して門扉の電動開閉を行うという技術を盛り込みました。ロボットの自動運転技術というのは、ここ数年でものすごく発達しており、本プロジェクトでもいろいろなところに取り入れています。
竣工後、周りからの反応や感想はいかがでしょうか?
門扉については問題なく運用できていますし、評判も良いなと感じています。今回、意匠的にも電気制御的にもかなりオーダーメイド感覚だったのですが、設計段階から施工段階にかけて柔軟に協力していただき、イメージを共有しながら協働・具現化してもらえる、という信頼感は大きいと思います。施工図も時間のない中できちんと仕上げてもらいましたしね。(笑)
デザイン性と品質の高さを両立した製品を期待
ヒガノ製品の品質やデザインはいかがでしょうか?
ヒガノさんの製品はシャープさが特長と感じています。素材のよさや品質の高さが値段にも反映されていますが、設計段階からしっかりと予算にスペックインしていれば、採用されるケースも多いです。この品質を保つためにどのような努力をされているのか、いつか機会があれば工場を見せていただくなど、製造段階を知ることでこちらの知識が深まれば、より有意義な協働ができるのかな、と思っています。
今後、ヒガノにどのようなことに期待をされますか?
エクステリアというのは、最初に目に入る部分なのでとても重要だと思っており、設計者として気が抜けない、大切な要素だと思っています。細部までのこだわりを柔軟に対応してくれるヒガノさんには、これからもデザイン性と品質の高さを両立した製品を期待しています。
また最近、内装空間で使えそうな自由度の高そうなグラスウール吸音パネル・ルーバーが発表されましたね。ああいうデザイン的に難しいところにヒガノさんが入ってきてくれると空間が引き締まってかっこよくなる気がします。そういうニッチ(笑)なところにもどんどん入ってきてもらい、開発してもらえればと願っています。